人身傷害保険
以前は、「搭乗者傷害保険」という、1日あたりの金額に入院や通院の日数をかけていくらという、治療費の多寡に関係なく支払われる傷害保険が一般的でしたが、平成10年に、実際にかかった治療費などの実損害を支払う保険が発売されました。これを人身傷害保険と言います。
専門的に言うと、自賠責保険の16条請求権代位ができる傷害保険です。自賠責保険や対人賠償保険は賠償責任保険ですが、人身傷害保険は、その名前の通り「傷害保険」です。ただし、一般的な傷害保険と異なり、被害者の現実の損害をてん補すること、加害者への求償権があることを規定しているため、自賠責保険との二重取りはできません。
人身傷害保険の保険会社は、対人賠償保険の一括払と同様、被害者請求した場合に自賠責保険から支払われる金額を含めて支払し、終了した以降、自賠責保険からの回収を試みます。
被害者から見ると、損害額が大きい場合、先に自賠責保険の被害者請求を行ない、保険金額を使い切ってから、足らない部分を人身傷害保険で対応してもらうよりも、最初から人身傷害保険に対応してもらった方が手間は省けますし、逆に、保険金額内で終わる程度のケガの場合でも、社会保険を使用して受診するときの医療保険の保険者への手続の代行とか、治療費の毎月の自己負担金の支払など、面倒な手続きを保険会社が代わりにやってくれるメリットがあります。(医療機関の都合などによりできない場合もあります。)
対人賠償保険はあくまで相手方が加入した保険ですから、いくらこちらが希望しても、相手側が動いてくれなければどうしようもありませんが、人身傷害保険の場合は、自分が契約した保険契約ですから、約款免責に該当するなど契約上の問題がなければ対応可能です。
車対車の事故で自分もケガした場合、相手が任意保険に加入していない、加入しているようだが加入先の保険会社が被害対応をしてくれない、という場合、まず、ご自身が加入している自動車保険に「人身傷害保険」が付いていれば、事故報告をしましょう。
契約によっては、歩行中、車にはねられたなど、自分が車に乗っていなくても対象となる場合があります。