異議申立とは
自賠責保険の対象となると考えて請求したものの、無責、対象外という結論だった、治療の一部が否認されたなど認定されなかった部分があり、納得がいかないという場合や、後遺障害が残ったのに等級非該当だった、思っていた等級よりも低い等級が認定されたなどの場合に、異議申立という手続が用意されています。
異議申立は、被害者請求した場合は自賠責保険会社に対して行い、任意保険会社が事前認定した場合は任意保険会社を窓口にして行います。
実態は再度請求をしてみるということですから、裁判の三審制と違い、異議申立の回数に制限はありません。しかし、中身が同じままで、「不満だからもっと支払え。」というような文句をいくら言っても結論が変わることはありません。
異議申立を行う場合は、不足していた資料を追加するとか、不備を修正するなどの新たな証拠を用意することが重要です。
結論が誤っているなどの主張を述べて結論を変更するよう申し立てることは紛争性を含んでおり、弁護士でなければできないとする意見もありますが、異議申立は自賠責保険請求手続の一種であり、異議申立書は事案を特定し、どの結論に対して異議があるので調査をやり直してほしいという旨を伝えるためのものに過ぎませんので、行政書士でできる業務です。
異議申立書の書き方で、言い換えれば主張を変えただけで結論が変わることはありません。たとえば画像の読影をこう解釈すべきだなどの主張や意見で結論が左右されることはありません。主張に応じて結論を変えていたのでは、自賠責保険が持つ、公平な被害者保護の視点を欠くことになるからです。なお、このような書面は、行政書士は作成することはできません。
多少形式的な側面はありますが、自賠責保険における損害認定は、認定基準に従い、提出された証拠となる書面や資料等に記載されている事実と、これまで蓄積された膨大な量の経験則によって行われます。
後から主張の補強のための医師の意見書などを取り付けて「異議申立」をして上位等級への等級変更を獲得を狙ったりするのではなく、最初から揃えるべきものをすべて揃えて提出すればよいのです。